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官公庁ウォッチ

保育士のキャリアアップ研修、見直し検討スタート——現場調査を読む

官公庁の発表を、公表資料まで遡って確認する週次コラムです。今週(9月7日〜13日)は、こども家庭庁「保育士養成課程等検討会」第5回(9月10日開催)で、保育士等キャリアアップ研修の見直し議論が始まりました。あわせて示された都道府県・保育施設への速報アンケートの中身を確認します。

今週の動き

この検討会は、保育士等キャリアアップ研修(乳児保育・幼児教育・障害児保育・食育アレルギー対応・保健衛生安全対策・保護者支援子育て支援の6分野+マネジメント・保育実践の計8分野、各15時間以上の研修)のあり方を議論する場です。第5回では、研修制度そのものの説明(資料1)に加えて、都道府県・保育施設に対して令和8年7月24日〜8月7日に実施したアンケートの速報値(資料3)が示されました。

所感

アンケートは都道府県(43/47団体が回答)と、全国の幼児教育・保育施設(9,786件が回答)の両方に行われています。まず目を引くのは、都道府県の課題意識で「保育士が研修を受ける時間や代替職員の確保が困難」(46.5%)と「保育の質を高めることよりも加算を受けることが目的になっている」(46.5%)がまったく同じ割合で並んでいることです。研修を受けさせる余力がないという現場の物理的な制約と、研修が処遇改善等加算のための手続きになっているのではという制度目的への懸念が、都道府県側から見ても同じ重さで挙がっている格好です。

保育施設向けの回答(9,786件)でも、課題意識の1位は「研修を受ける時間や代替職員の確保が困難」で57.9%。3位の「加算を受けることが目的になっている」も31.7%に達しており、都道府県側の受け止めとおおむね重なります。

キャリアアップ研修についての課題意識(複数選択・上位)

  • 都道府県(回答43団体):時間・代替職員の確保が困難 46.5%/加算取得が目的化 46.5%
  • 保育施設(回答9,786件):時間・代替職員の確保が困難 57.9%/加算取得が目的化 31.7%

出典:こども家庭庁「保育士等キャリアアップ研修に関する都道府県及び保育所等へのアンケート調査結果(速報値)」(令和8年7月24日〜8月7日実施)

分野ごとの温度差もはっきり出ています。保育施設側が「ニーズが高い」と感じる分野の上位は、乳児保育(62.8%)・障害児保育(57.3%)・保護者支援子育て支援(50.5%)の3つ。一方、都道府県への「削減したほうがよい分野」の自由記述では、保育実践という回答以外は出なかったとのことです。現場が今いちばん欲しいのは、乳児や障害児への対応、保護者対応といった「日々の判断に直結する分野」だと読み取れます。

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💡 まひるの着眼点|研修を「受けた後」の扱いにも差がある
修了して終わり、ではない仕組みになっているかどうか。

資料3には、研修を受けた職員が学んだ内容を園内にフィードバックする機会(園内研修の開催やレポート共有など)を設けているかという設問もあります。「設けている」が7,616件(78%)に対し、「設けていない」は2,170件(22%)。設けていない理由は「その他」が49%、「多忙につき時間がない」が45%で、明確な理由なく仕組みがない園も一定数あることがうかがえます。研修そのものの中身以前に、受けた後の職場での扱われ方が園によってばらつくという点は、キャリアアップ研修を処遇改善等加算との関係だけで見ていると気づきにくい部分です。求人票や面接では、研修制度の有無だけでなく「受けた後どう活かされるか」まで聞いてみる価値があると思います。

ここは中立に。今回示されたのはあくまで速報値で、これを踏まえた制度改正の方向性はまだ示されていません。都道府県調査も43/47団体、施設調査も抽出方法までは資料に明記されておらず、全国の保育施設全体の縮図と断定はできません。研修分野の見直しや時間数の変更など、具体的な結論が出るのは次回以降の検討会の議論を待つ必要があります。

最後に

キャリアアップ研修は制度の骨組み自体は平成29年の創設から大きく変わっていませんが、現場からの声を踏まえた見直しの議論が始まったところです。次回の検討会でどこまで具体案が出てくるか、引き続き確認していきます。

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参考データ(出典)
・こども家庭庁「保育士養成課程等検討会」第5回(令和8年9月10日開催)資料1・資料3 https://www.cfa.go.jp/councils/hoikushiyoseikatei/05
・こども家庭庁「保育士養成課程等検討会(第5回)を令和8年9月10日(木)に開催します」 https://www.cfa.go.jp/press/8644ae52-ec3e-41ab-8ea7-30409e82be25
※本文中の数値は上記公的資料に基づく概況です。最新の詳細は各公式資料をご確認ください。