保育士の手取りはいくら?月給28.6万円で手取り約23万円の内訳
「求人票の月給、思ったより口座に入ってこない」——この感覚のもとは、求人票や統計に出てくる金額が“額面”で、手取りではないという一点にあります。この記事は、平均月給という額面を出発点に、そこから何が引かれて手取りになるのかを、計算の順序でほどいていきます。自分の給与明細と並べて確かめられる形に整えました。
額面(総支給)と手取り(差引支給)は別もの
まず言葉を分けておきます。求人票の「月給◯◯万円」や統計の平均額は額面=総支給額。ここから社会保険料と税金を差し引いて、実際に振り込まれるのが手取り=差引支給額です。厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)で、保育士の「きまって支給する現金給与額」は月28万5,700円。これは基本給に毎月の手当を足した税込の額で、手取りではありません。
額面 月28.6万円 → 手取り 月23万円前後
差の約5万円が、社会保険料と税金として毎月引かれているぶんです。
額面の出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者・職種(保育士/企業規模計10人以上・男女計)。手取りは社会保険料・税を差し引いた概算。
給料から引かれる5つ
「2割引かれる」の中身を分解すると、次の5つです。額面に対する“ざっくりの割合”で見ると、自分の明細でも当てはめやすくなります。
| 引かれるもの | 性格(何のためか) |
|---|---|
| 健康保険料 | 医療のための保険。労使で折半 |
| 厚生年金保険料 | 年金のための保険。労使で折半 |
| 雇用保険料 | 失業給付などのための保険 |
| 所得税 | その年の所得にかかる国税(源泉徴収) |
| 住民税 | 前年の所得にもとづき翌年課税される地方税 |
健康保険・厚生年金・雇用保険は社会保険料、所得税・住民税は税金。保険料率・税額は制度・自治体・扶養状況で異なる。
社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険)だけで、額面のおよそ15%前後。そこに所得税と住民税が乗って、合計で2割前後になる、というのが手取り8割の内訳です。厚生年金と健康保険は会社と折半なので、明細に出ている保険料と同じ額を園も負担しています。天引きは“取られている”というより、半分は園と折半で将来の保障を積んでいる、という見方もできます。
1年目だけ住民税が引かれない
新人の初年度に「意外と手取りが多い」と感じることがあります。理由は住民税。住民税は前年の所得をもとに翌年課税されるので、収入がなかった前年ぶんが基準になる1年目は天引きがほぼゼロ。2年目から住民税が乗って、同じ額面でも手取りが下がって見えます。ここを知らないと「昇給したのに減った気がする」と混乱しがちです。
最後に
保育士の手取りは、平均月給28.6万円の額面からおよそ2割が引かれて、月23万円前後が目安。引かれるのは社会保険料と税金で、半分は園と折半、住民税は1年遅れて効いてくる——この順序が分かると、求人票の金額を生活の実感に翻訳できます。額面の平均そのものは保育士の給料はいくら?(平均月給・年収)で、賞与の考え方は保育士のボーナスで整理しています。まずは手元の明細で、総支給と差引支給の差を一度確かめてみてください。
・厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者・職種(保育士/企業規模計10人以上・男女計)
・全国健康保険協会・日本年金機構 公表の保険料率、国税庁「源泉徴収税額表」、総務省「個人住民税」制度概要
※手取りは社会保険料・税を差し引いた概算です。控除額は扶養・年齢・自治体・加入保険により異なります。正確な金額は給与明細をご確認ください。
求人票を読むとき、わたしは金額をいったん手取りに置き換えてから比べます。
求人票の月給はすべて額面です。だから2つの園を「月24万」「月26万」で並べても、そのままでは生活実感の比較になりません。わたしは頭の中でざっくり0.8を掛けて手取りに直してから並べます。もう一つ見るのは、月給に何が含まれているか。固定残業代や処遇改善手当が“込み”の月給だと、額面が大きく見えても内訳が薄いことがある。手取りで比べ、内訳の但し書きを読む——この二段構えだけで、求人票の見え方はかなり変わります。金額の大小より、その金額が何でできているかのほうが、入ってから効いてきます。