保育士のスキマバイト、配置基準の定数には数えられない——通知を読む
今週の動き
9月21日〜27日の期間、こども家庭庁・厚生労働省の報道発表・審議会情報を確認したところ、保育士・保育所の制度に直接関わる新しい発表や数値の公表はありませんでした。動きがあったのは、こども家庭庁の次の1件です。
- 「こども性暴力防止法」に関する情報処理安全確保支援士への相談支援を開始(民間の中小規模事業者向け) 2026年9月25日 | こども家庭庁「情報セキュリティの専門家(情報処理安全確保支援士)への相談について」
この窓口は、こども性暴力防止法(学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律)で義務づけられた情報管理を、専門知識のない中小規模の事業者でも実施できるようにするための相談支援です。保育所・認定こども園等の施設も対象に含まれますが、内容は事業者(園)側の体制整備が中心で、保育士個人の働き方に直接影響するものではありません。
所感
保育士の求人を探していると、単発・スポット型の仕事、いわゆるスキマバイトを保育の現場でも見かけるようになりました。こども家庭庁が令和7年2月14日付けで出しているのが、この働き方についての考え方を都道府県・市区町村に示す通知です。発表元のPDFを確認すると、要点は一文に集約できます。スポットワークにより採用された保育士は、保育所等の最低基準上の保育士定数の一部に充てることは望ましくない、というものです。
「定数に数えられない」とはどういうことか
保育所には、こどもの年齢ごとに保育士を何人配置するかを定めた最低基準(配置基準)があります。配置基準を年齢別に整理した記事で扱った通り、この人数を満たさなければ保育所は運営できません。通知が示しているのは、この必須人数の穴を、単発雇用のスポットワーカーで埋め続けるのは望ましくないという考え方です。裏を返せば、園が恒常的な人手不足を抱えている場合、その解消をスキマバイトに頼る運営は、行政が想定する姿ではないことになります。
通知の要旨(令和7年2月14日付・こ成保第131号)
・スポットワーク=短時間かつ単発の就労を内容とする雇用契約の下で働くこと(通知内の定義)
・最低基準上の保育士定数の一部に、スポットワークで採用された保育士を充てることは望ましくない
・病気等やむを得ない事情による当日欠勤への活用など、単発的な対応まで一律に妨げるものではない
・1〜2日程度の短期雇用を長期・継続的に繰り返すことは、保育所等の運営として望ましくない
通知が理由に挙げているのは、こどもを長時間にわたり継続して保育できる常勤保育士が原則望ましいという、従来からの考え方です。こどもとの関わりが安定的・継続的であることを重視する立場からすれば、定数の枠に毎日違う保育士が入れ替わり立ち替わり入る状態は、望ましい保育環境とは言えないという理屈が根っこにあります。
最後に
単発で働けるスポットワークは、副業や掛け持ちの選択肢として広がっています。ただし保育所の必須人数を埋める手段としては行政が距離を置く考え方を示している、という点は求人票を読むときの判断材料になりそうです。
関連記事
・こども家庭庁「保育所等におけるスポットワーク(いわゆるスキマバイト)により採用された保育士の取扱いについて」(通知・こ成保第131号、令和7年2月14日付) https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/4bd444ad/20250225_policies_hoiku_134.pdf
・こども家庭庁「保育」ページ(配置基準の関連情報一覧) https://www.cfa.go.jp/policies/hoiku/
・こども家庭庁「情報セキュリティの専門家(情報処理安全確保支援士)への相談について」(令和8年9月25日公表) https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/efforts/koseibouhou/security-specialist
※本文中の数値は上記公的資料に基づく概況です。最新の詳細は各公式資料をご確認ください。
最初にこの通知を見たときは、スポットワーク自体を制限する内容かと思ったのですが、読み直すと少し違いました。禁止しているのは単発雇用そのものではなく、それを法定の必須人数に組み込むことです。園が定数を常勤・パートで満たした上で、繁忙期や急な欠員の穴埋めとして単発の保育士を追加で使うぶんには、通知が想定する範囲に収まるはずです。正社員・パート・派遣を比較した働き方の記事では単発雇用まで踏み込めていませんでしたが、求人票でスポットワークの募集を見かけたら、その園がすでに定数を満たしたうえでの追加募集なのか、定数の不足を埋めるためなのかを、面接や説明で確認してみる価値はあると思います。後者だとしたら、通知が望ましくないとする使い方に近く、配置そのものが常態的に薄い可能性があります。