広告(PR)|保育士の転職サポート診断/運営:tsukurou.com
トップへ
官公庁ウォッチ

保育士を含む福祉専門職、求人倍率2.50倍——8月の職業紹介を読む

官公庁の発表を、公表資料まで遡って確認する週次コラムです。今週(9月28日〜10月4日)、保育の制度そのものに関わる新しい発表はこども家庭庁・厚生労働省ともに見当たりませんでした。一方で10月2日、厚生労働省が毎月の「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」を公表しています。その職業別の表で、保育士を含む「社会福祉専門職業従事者」の有効求人倍率は2.50倍。職業計の1.06倍の2倍を超える水準でした。今回はこの数字を、何が含まれていて何が含まれていないのかまで確かめながら読みます。

今週の動き

9月28日〜10月4日の期間、こども家庭庁の新着情報・報道発表と、厚生労働省の報道発表を確認しました。こども家庭庁では里親月間の告知や審議会の議事概要などが並びましたが、保育士・保育所の制度に直接関わるものはありませんでした。保育士の働く環境を読む材料になるのは、厚生労働省の次の1件です。

報道発表の見出しは、有効求人倍率(季節調整値)1.18倍で前月と同水準、新規求人倍率(同)2.06倍で前月から0.04ポイント低下、というものです。ただ、この見出しの数字は全職業をならした季節調整値で、職業別の数字は添付の「参考統計表」に原数値で載っています。同じ8月でも、表によって職業計の倍率が1.18倍だったり1.06倍だったりするのはこのためです。以下では、職業別の比較は参考統計表の原数値どうしでそろえます。

所感

2.50倍は「求職者1人に求人2.5件」

参考統計表6(全国計・常用(パート含む)・令和8年8月)を開くと、専門的・技術的職業の内訳に「社会福祉専門職業従事者」の行があります。有効求人倍率は2.50倍。ハローワークで仕事を探している人1人に対して、求人が2.5件ある計算です。職業計は1.06倍なので、仕事を探す人と求人がほぼ1対1の全体と比べると、福祉の専門職は明らかに「選べる側」にいます。パートを除いた常用(参考統計表7-2)で見ても、職業計1.17倍に対して2.75倍と、差の構図は変わりません。

社会福祉専門職業従事者の求人・求職(令和8年8月・原数値)

・有効求人倍率:2.50倍(職業計 1.06倍)/常用(除パート)では 2.75倍(職業計 1.17倍)
・新規求人倍率:4.60倍(職業計 1.98倍)
・有効求人 119,460人/有効求職 47,690人/就職件数 3,243件
・前年同月比:有効求人 +0.9%、有効求職 +3.1%、就職件数 +7.0%、有効求人倍率は前年同月差 −0.06ポイント
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」参考統計表6(常用・パート含む)、参考統計表7-1(対前年同月比・差、常用・含パート)、参考統計表7-2(常用・除パート)

倍率の低下は「求人が減った」からではない

前年同月より倍率は0.06ポイント下がっています。ここだけ見ると人手不足が和らいだようにも読めますが、内訳を見ると印象が変わりました。有効求人は前年同月比で0.9%増えていて、減ってはいません。倍率を押し下げたのは、有効求職者が3.1%増えたほうです。就職件数も7.0%増えています。求人が細ったのではなく、この分野で仕事を探す人・実際に決まる人が増えた、と読むのが素直だと思います。

まひるのアイコン
💡 まひるの着眼点|この2.50倍は「保育士だけ」の数字ではない
表の行名をそのまま「保育士の倍率」と書くと、ずれが生まれる。

表の注記には、区分は平成21年12月改定の「日本標準職業分類」に基づくとあります。総務省の分類表で中身を確かめると、「社会福祉専門職業従事者」は福祉相談指導専門員・福祉施設指導専門員・保育士・その他の4つの小分類でできていました。つまり2.50倍は、保育士と、相談員や施設の指導員などを合わせた数字です。毎月の参考統計表はこの中分類までしか出ていないので、保育士だけの倍率をここから取り出すことはできません。保育士単独の倍率は、こども家庭庁の資料などに別の時点の数字として載っていますが、時点も集計の切り口も違うため、この2.50倍と並べて「上がった・下がった」と比べないほうが安全です。もう一つ、この統計はハローワークを通した求人・求職だけを数えたもの。保育士の求人は民間の紹介会社や求人サイトにも多く出ているはずで、市場全体の熱さはこの表の外にもあります。

ここは正直に。8月の1か月分の原数値は、季節による増減をならしていない数字です。前年同月との比較は季節の影響をある程度そろえられますが、1か月の動きだけで傾向が変わったと言い切るのは早いと考えています。数か月分を並べてから判断するつもりです。

最後に

求人倍率は「どれだけ選べるか」の目安にはなりますが、条件の良し悪しまでは教えてくれません。福祉の専門職全体で求職者が増えているいま、倍率の高さに安心するより、求人票の中身を比べる目を持っておくほうが役に立ちそうです。

関連記事

参考データ(出典)
・厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)について」(令和8年10月2日公表) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76397.html
・同 参考統計表(参考統計表6:全国計・常用(パート含む)・令和8年8月/参考統計表7-1:対前年同月比・差/参考統計表7-2:常用(除パート)) https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/001753011.pdf
・総務省「日本標準職業分類(平成21年12月告示)分類項目名」 https://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/index/seido/shokgyou/kou_h21.htm
※本文中の数値は上記公的資料に基づく概況です。最新の詳細は各公式資料をご確認ください。