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官公庁ウォッチ

保育施設の事故報告3,130件——数の多さは「危険度」と違う

官公庁の発表を、公表資料まで遡って確認する週次コラムです。今週(7月27日〜8月2日)、こども家庭庁が令和7年(令和7年1月〜12月)の「教育・保育施設等における事故報告集計」を公表しました。重大事故の報告件数を施設種別に見ていくと、単純な件数の多さと、施設1か所あたりの発生率とで、順位が入れ替わる場面があります。

今週の動き

同日、令和5年分・令和6年分の集計資料についても、掲載データの差し替えと正誤表の公表が行われています。以下は令和7年分(令和7年1月1日〜12月31日に第1報があったもの)の数値です。

所感

今回の集計で報告件数が最も多いのは認可保育所の1,313件で、全体3,130件のうち4割強を占めます。ここだけを見ると「認可保育所は事故が多い施設」という印象になりがちですが、認可保育所は施設数そのものが21,241か所と、教育・保育施設の中で最も数が多い区分です。件数を施設数で割って初めて、施設1か所あたりの発生率という別の指標が見えてきます。

教育・保育施設等における事故報告件数(令和7年1〜12月)

  • 認可保育所:1,313件/21,241か所=1か所あたり約6.2%
  • 幼保連携型認定こども園:615件/7,470か所=1か所あたり約8.2%
  • 保育所型認定こども園:158件/2,017か所=1か所あたり約7.8%
  • 幼稚園型認定こども園:61件/1,637か所=1か所あたり約3.7%
  • 幼稚園:87件/8,225か所=1か所あたり約1.1%

出典:こども家庭庁「令和7年教育・保育施設等における事故報告集計」(令和7年1月1日〜12月31日、令和8年7月29日公表)。施設数はこども家庭庁成育局調べ(令和7年4月1日現在)。事故報告件数を施設数で除した割合は編集部で算出。

施設1か所あたりで見ると、認可保育所(約6.2%)より幼保連携型認定こども園(約8.2%)や保育所型認定こども園(約7.8%)の方が高くなります。件数の多寡だけを見ていると、この順位の入れ替わりには気づきません。なお対象はどの区分でも共通の基準で、死亡事故・意識不明事故・治療に30日以上を要する負傷や疾病を伴う重篤な事故に限られており、日常的な軽微なけがは含まれていません。

全体の内訳では、負傷等の81%(2,533件)が骨折によるもので、発生場所は施設内が89%(2,799件)、そのうち施設内の室外(園庭等)が50%(1,400件)を占めます。死亡の報告は1件(対前年2件減)で、放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)でのプール活動・水遊び中の溺死でした。年齢別では、未就学児の中では5歳(777件)が最も多く、年齢が上がるほど件数が増える傾向があります。

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💡 まひるの着眼点|「件数が多い施設」と「事故が起きやすい施設」は同じではない
求人票や施設紹介では、こうした集計の生の件数だけが独り歩きしやすいので気をつけたいところです。

認可保育所は施設数が突出して多いので、事故報告の絶対数もどうしても大きくなります。逆に、地方裁量型認定こども園のように施設数が88か所しかない区分は、報告件数がゼロでも「事故がない施設形態」と結論づけるには母数が小さすぎます。数字を比較するときは、まず分母(施設数や利用児童数)が同じ土俵にあるかを確認するのが、資料を読むときの基本の姿勢です。今回のように施設数が資料内に併記されているケースは、自分で割り算して初めて見える景色があります。求人票の「事故ゼロ」「安全第一」といった表現も、母数の大きさ次第で意味合いが変わってくることは、頭の片隅に置いておいて損はありません。

ここは正直に。施設数は令和7年4月1日時点、事故の集計期間は令和7年1月〜12月なので、厳密には同時点のデータではありません。また事故報告制度は自治体経由での報告に基づくため、報告の徹底度合いには地域差がある可能性があります。今回算出した「施設あたりの発生率」は、あくまで施設種別間の大まかな傾向を見るための参考値であり、個々の園の安全性を保証するものではありません。

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参考データ(出典)
・こども家庭庁「教育・保育施設等における事故報告集計」ページ(令和7年分・令和7年1月1日〜12月31日、令和8年7月29日公表) https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/effort/shukei
・上記ページ掲載の「令和7年教育・保育施設等における事故報告集計」PDF(施設種別の件数・施設数・年齢別・場所別の内訳)
※本文中の割合(施設1か所あたりの発生率)は、事故報告件数を施設数(こども家庭庁成育局調べ、令和7年4月1日現在)で除して編集部が算出したものです。最新の詳細は公式資料をご確認ください。