待機児童9年ぶり増加2,435人——保育所等関連状況を読む
官公庁の発表を、公表資料まで遡って確認する週次コラムです。今週(9月14日〜20日)はこども家庭庁・厚生労働省の発表を確認しましたが、保育士・保育所の制度に直接関わる新しい発表は見当たりませんでした。代わりに、8月25日に公表されていた「保育所等関連状況取りまとめ(令和8年4月1日)」を読み解きます。待機児童数が9年ぶりに増加へ転じたという、保育の求人動向にもつながる内容です。
今週の動き
9月14日〜20日の期間、こども家庭庁・厚生労働省の報道発表・審議会情報を確認しました。保育士・保育所の制度に直接関わる新しい発表や数値の公表はなく、こども家庭庁のページ更新も下記の委員名簿差し替えにとどまっています。
- 教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議:開催要綱・委員名簿を更新(内容面の新規発表なし) 2026年9月18日 | こども家庭庁「教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議」
所感
こども家庭庁が8月25日に公表した「保育所等関連状況取りまとめ(令和8年4月1日)」によると、待機児童数は2,435人で、前年(令和7年4月1日時点・2,254人)より181人増加しました。減少が続いていた待機児童数が増加に転じたのは9年ぶりです。
一方で、保育所等の利用定員は302万人(前年比1.3万人減)、利用する児童の数は265万人(前年比3.2万人減)と、どちらも前年を下回っています。定員に対する充足率も87.7%(前年比0.7ポイント減)へ下がっており、定員・利用児童数・充足率がそろって縮んでいるのに、待機児童だけが増えるというねじれた動きになっています。
出典:こども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ」令和7年4月1日・令和8年4月1日の各時点。
待機児童のいる市区町村の数自体は211から189へ22減っています。それでも合計の待機児童数が増えたのは、残った市区町村での不足がより大きくなっているためです。実際、待機児童が100人を超える自治体は前年の1市から3自治体に増えました。
ここは正直に。今回の資料は令和8年4月1日時点の1時点のスナップショットで、年度内の変動や都道府県別・年齢別の詳しい内訳までは、この概要資料だけでは分かりません。待機児童が増えた要因(保育士の採用難による受け入れ制限なのか、申込者数自体の変化なのか等)についても公表資料に明記された分析はなく、ここでの読み解きは公表された集計数値の比較にとどまります。
最後に
待機児童数が9年ぶりに増加へ転じたという結果は、少子化を背景に保育の「量」の議論がやや下火になっていた流れのなかで、一つの区切りになりそうです。都道府県別の内訳や次回の集計結果が公表されたタイミングで、改めて確認します。
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参考データ(出典)
・こども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ(令和8年4月1日)」(令和8年8月25日公表) https://www.cfa.go.jp/policies/hoiku/torimatome/r8
・こども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ(令和7年4月1日)」(比較用) https://www.cfa.go.jp/policies/hoiku/torimatome/r7
・こども家庭庁「教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議」ページ更新(令和8年9月18日) https://www.cfa.go.jp/councils/child-safety-kyoiku-hoiku
※本文中の数値は上記公的資料に基づく概況です。最新の詳細は各公式資料をご確認ください。
・こども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ(令和8年4月1日)」(令和8年8月25日公表) https://www.cfa.go.jp/policies/hoiku/torimatome/r8
・こども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ(令和7年4月1日)」(比較用) https://www.cfa.go.jp/policies/hoiku/torimatome/r7
・こども家庭庁「教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議」ページ更新(令和8年9月18日) https://www.cfa.go.jp/councils/child-safety-kyoiku-hoiku
※本文中の数値は上記公的資料に基づく概況です。最新の詳細は各公式資料をご確認ください。
待機児童が「どこにでも少しずつある」状態から、「一部の自治体に集中する」状態へ移りつつあるように見えます。求人票を読むうえでも無視できない変化だと思います。保育士不足の深刻さを求人倍率で見る記事でも触れていますが、待機児童が集中する自治体ほど、保育所の受け入れ枠を増やすための職員確保のニーズが強く残っている可能性が高いといえます。逆に、全体では利用児童数も充足率も下がっているので、待機児童が少ない・ゼロの地域では、すでに定員に対して子どもの数が追いついていないところも増えているはずです。同じ「保育士を求めている」求人でも、その理由が「まだ受け入れが足りない」のか「定員割れで人員配置を見直したい」のかはエリアによって変わってきます。資格を持ちながら保育の仕事から離れている潜在保育士は185万人規模でいるとされているので、勤務地の待機児童の状況まで一度確認してから求人を絞り込むと、ミスマッチを減らせるはずです。